おっさん、映画を見る

広告業界で働くITエンジニアなおっさんが、映画について語っていくブログ(ネタバレもあり)

映画館の避難誘導灯はいつから上映中に消灯するようになったのか

こんにちは、おっさんです。

ちょっと防災の日にあたり思うところがあったので書いてみようと思います。

前の映画館と今の映画館の違い

さて、おっさんというからには、結構前から映画を見ているわけで。 そうすると、ふとしたはずみで昔、それこそ子供のころの映画館の様子なんかを思い出すことがあります。

で、今と何かちがうなー、なんだろうなーと思っていたことがありまして。 ちょっと前にそれが何なのかに気付いたわけです。

それが避難なんかを指示する誘導灯の扱いでした。

緑色で、白抜きに非常口の方向を示しているアレ。

あれ、昔は上映中も点灯していたような記憶があるんですよね。

避難誘導灯の目的

避難誘導灯はそのまま、読んで字のごとし、避難時の非常口までの経路を示すことを目的としています。 なにか緊急事態が発生したとき、これに従って非難することで安全な屋外まで行けるというわけです。 これの設置目的及び基準、その運用については消防法により厳密に定められています。

避難というのは究極の現実なわけです。なにせ放置したら自分の身に危険が迫るわけでして。

ところが映画館やプラネタリウムなんかは暗くすることで非現実感を演出している施設なわけで、こうした施設と非常口の相性はすこぶる悪い。

最近の映画では上映前のアナウンスで誘導灯の上映中消灯と緊急時点灯についてアナウンスがされますが、これっていつからなのかな、と。 その前、それこそ僕が子供の頃って上映中も点灯していたはずだな、と。

ということで、ちょっと調べてみました。

関連する消防法の改正について

結論から言うと、「劇場、映画館等の誘導灯を消灯する場合の取扱いについて(通知) 」(改正 平成 8 年 3 月 21 日消防予第 43 号)という文書がありまして、これによって、適切な防火施設で、かつ一定時間以上暗くする運用が求められる場合には、その間の消灯が認められるようになったようです。

実は消灯するようになってからもう20年近くたつんですね。

ではその前の運用は、というと、「減光型誘導灯の構造及び取扱いに関する基準について」(昭和 52年 6 月 14 日付け消防予第 116 号)という文書によって明るさを落としていた状態だったようです。でもつけっぱなしは変わらない。

僕が子供のころに見ていた、“映画上映中なのに非常口表示が明るいまま”状態はこれだったわけですか。 妙に目立っていた記憶もあるけど、あれで減光状態なんですね。つまりあのグリーンのピクトグラムは、暗闇の中ではそれだけ印象が強いということです。

ちなみに誘導灯設置自体は、「誘導灯及び誘導標識の基準」(昭和 48 年 12 月 22 日消防庁告示第 13号)が根拠のようです。 もしかするとその前からあったのかもしれないのですが明確に基準ができたのがこの文書ということでしょうか。さすがに生まれる前のことは覚えているわけもなく。詳しい方にフォローをお願いしたいところです。

とすると、通常光度で誘導灯が点灯されていたのはわずか3年半ということになります。

やっぱり、映画を見ているときってあの光は邪魔なんですね。どうしても没入しづらくなっちゃう。

緊急時に点灯で安全性は大丈夫なのか

こうなると、緊急時点灯で間に合うのか、目がくらんだりしないのか、ということが気になります。

それについては先日鑑賞した『planetarian~星の人~』のパンフレット内に本職のプラネタリウム解説員の方が寄稿されていたのですが、その中に興味深い一文がありましたので引用させていただきます。

人間の目は明るさに瞬時に慣れるが、逆に暗闇にはなかなか慣れない

なるほど、こういう性質があるから緊急時に一斉点灯するという運用で間に合うんですね。逆に上映開始前には特報などを一定時間流すことで、暗闇でスクリーンを見ている状態に目を慣れさせる必要がある、と。

ossan-movie.hatenablog.com

planetarian~星の人~』、いい映画でしたのでおススメですよ。

最後に

以前映画鑑賞中に地震に遭遇したことがありました。

その時非常灯がともるようなことはありませんでしたが、あの大災害を思い出すと、いざというときに冷静に行動できるように、こうしたちょっとした設備があることを常に意識することが大事だとあらためて感じます。

見てきたように、よりよい環境で、かつ確実に安全が確保できるように法令やその運用は進化してきています。

これからも良い映画ライフのため、こうした設備面や法律面も含め、どんどん進化を続けてほしいものです。

ついでに、子供のころの思い出も記憶違いとかではなかったようでホッとしました。

今週のお題防災の日