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おっさん、映画を見る

広告業界で働くITエンジニアなおっさんが、映画について語っていくブログ(ネタバレもあり)

【ネタバレなし】彼氏(?)に自分を変えられちゃったという女の子の理想だけを詰め込んだ話 『にがくてあまい』レビュー

こんにちは、おっさんです。 二日連続で失礼します。

さて、本日は『にがくてあまい』を見てきました。

野菜が苦手なオンナと、女が苦手なオトコの、オーガニック・ラブコメディ

というコピーが付いていますが、さて、どんな感じの映画なのでしょうか?

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監督は?ストーリーは?

本作の監督は草野翔吾氏。

早稲田大学映画研究会在籍中に監督した長編映画『Mogera Wogura』が、学生映画ながら一般劇場で上映されるなど話題を呼ぶと、2012年に公開した長編映画『からっぽ』で第4回沖縄国際映画祭パノラマスクリーニング部門や第27回高崎映画祭など国内外の映画祭で上映されるようになります。

一応上記2作品も一般劇場上映されていますが、本作『にがくてあまい』が本格的な商業映画デビュー作という形のようですね。

肝心のストーリーですが、農家の娘だけど野菜嫌いなキャリアウーマン・江田マキが、ある日イケメン男子校美術教師片山渚と出会い、いろいろあった末に同居を始めることに……

というもの。 ふつうであればこのまま二人が恋におちて、となるのでしょうが、本作はラブコメです。

このイケメン君、なんと肉を食べない食生活(ヴィーガン。作中ではヴェジタリアンと自称)の上にゲイ。 つまり普通に恋とかありえない同居生活なわけですね。

さらには渚の元同居人アラタや同僚体育教師馬場園、マキの両親などが絡んでくるドタバタ風味のラブコメ、というのが基本シナリオになります。

ちょっとインスタントな画づくりが気になるものの

監督がまだキャリアも浅い若手、ということで仕方ないのですが、ちょっと画面の構成とかがシンプルで、ともすればインスタントな感じを受けました。

コメディということで、ちょいちょい笑わせるシーンとかが入るのですが、「さあここ笑うところですよ!」って意図が透けて見える感じで。もちろん分かりやすさという面ではそれでいいのですが、全編通してずっとそうなのが引っかかる。もう少し、ほのめかすようなシーンとかも交えて、笑いを作るシーンでも熱の大小のメリハリとかがほしかったです。

正直ずっと同じようなトーンのために一息つけるようなところがなくて、見ててちょっと疲れました。 面白いシナリオだけにそういう細かいところは残念だったかな。

ヴィーガンとヴェジタリアン

さて、この渚君、作中ではヴェジタリアンを自称しています。

そして料理好きで、たびたび料理シーンが出てくる。まあ腕前は男の料理好き、って感じでなかなかに好感触なのですが、食材に玉ねぎとかニンニクが登場してあれ?ってなる。

実はヴェジタリアンにもレベルがあって、玉ねぎなどの球根野菜って結構多くのヴェジタリアンが食べない食材なんですよね。例えばラクト・ベジタリアン(乳製品はOK)とかオボ・ベジタリアン(卵や魚介はOK)などは球根類を食べますが、オリエンタル・ベジタリアンと呼ばれる人々は無理。

で、元同居人アラタがインドから帰国しており、彼が渚に料理を教えた、ということなので、てっきりレベルの高いヴェジタリアンかと思っていたのですが、レシピはそうでもない。

wikipediaによれば、渚ってヴィーガン、つまり宗教的なヴェジタリアンと違って、革製品等食用以外の動物の利用をしないタイプの菜食主義者のようですね。部屋の小物や家具には動物由来の製品もあったように見えたので、ダイエタリー・ヴィーガンですね、多分。

細かいところですが、渚の考え方を視聴者に理解させよう、とするのであればこのあたりの区別について説明があっても良かったかも。この辺も画作りと合わせていささか制作側の軽さというか力量不足かなぁと感じました。

ダイエタリー・ヴィーガンでインドとかオリエント傾倒(家具などで見て取れる)で古民家ルームシェア

渚ってネオヒッピーかなにかか……

わたし、ヴィーガンと出会う (THE REPORTAGE ARTBOOK SERIES (4))

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女の子の理想だけを詰め込んだ感じ

で、そんな渚と同居するヒロインのマキは農家の娘なのに野菜が大の苦手。 ついでにキャリア志向、オシャレ志向で古民家住まいとか考えられないタイプの人。

……だったはずなのに、いざ渚の家に駆け込んでみると、特に大きな対立もなく菜食を受け入れて野菜好きになるし、なんとなく家にもなじんでしまうしとあっという間にキャラクターが変わっていきます。 ほぼ一方的にマキが渚の好みにあわせていく形で変わっていってるんですよね。

おい、そこは喧嘩とかして乗り越えてきずな深めていって、ってお話じゃないのか、と。

未読で申し訳ないのですが、原作でもこうなのですかね? 少女漫画原作なわけですが、透明で癖のないイケメンにつかまって自分がどんどん変わっていく、そういう恋愛をしたい、って女の子の理想が詰め込まれてるなぁ。

トラブルだらけの同居生活の中で男の側も変わっていくのが本当のエンタメだと思うのですが、そういうところがほとんど感じられず。 これはシナリオの弱さというか、薄さなんだと思います。

あ、女の子がこの映画を見てどう感じたかを聞いてみたいですね。 多分男女の恋愛観の差が大きく感想にでてきそう。

最後に

全体的に、面白いテーマだしキャストも頑張ってはいたけど、スタッフの力量不足がもったいないなぁ、という感じのする映画でした。キャラクターの考え方の深堀りも今一つで残念。

きっとまだまだ面白くなる余地があったのに!