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おっさん、映画を見る

広告業界で働くITエンジニアなおっさんが、映画について語っていくブログ(ネタバレもあり)

That's ステイサム! 細けぇ事はいいんだよ! 寡黙な仕事人は筋肉で語る! 『メカニック: ワールドミッション』レビュー

こんにちは、おっさんです。

"映画マラソン"ウィークエンドのラストはこれ、ジェイソン・ステイサムが寡黙なヒットマンを演じる作品、まさかの続編となる『メカニック: ワールドミッション』です。

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前作『メカニック』について

メカニック』(原題: The Mechanic)は、2011年のアメリカ映画。1972年のチャールズ・ブロンソン主演のアクション映画『メカニック』のリメイク作品です。

ジェイソン・ステイサム演じるビショップが、"事故に見せかけ証拠を残さず必ずターゲット"を始末する凄腕の殺し屋として暴れまわる、というシンプルなストーリー。もうこの殺し方が、基本的には(いろいろな状況を勘案して、十分に、そして周到に下準備をススメている様子はうかがえるものの)筋肉頼みでして、「本当に証拠残していないのか?」と突っ込まずにはいられない痛快なアクション映画。

SFとかだとこうした細かい作り込みは気になる箇所ですが、これはアクション映画であり、ビショップというキャラクターを描いたキャラクター・ムービーなのでこれでいいのだ、という出来。「細けぇ事はいいんだよ!」の精神で楽しむ映画ですね。

タイトルは1972年版からの由来で、マフィアによる殺し屋の隠語、らしいのですが、原点を見ていないのでなんとも言えないです。ただ機械のように正確に相手を始末する、というニュアンスは伝わってきましたね。予告とか見ずに、タイトルだけで劇場に行くと全く機械いじりの話じゃなくてびっくりした、なんてことはありそうでしたが。

そんな『メカニック』の(まさかの)続編が本作『メカニック: ワールドミッション』になります。

『メカニック: ワールドミッション』のストーリー

暗殺の仕事から離れ、平穏な日々を送るビショップ(ジェイソン・ステイサム)のもとに、かつてビショップを裏切り姿を消したままでいた兄弟子クレインから暗殺の依頼が入る。相手にしないつもりだったが、人質を取られて引き受けざるを得ない事態になる。フィクサーとして世界を裏で操る3人の武器商人がターゲットとして提示され、事故死に見せかける暗殺計画を進めるビショップ。しかし、クレインが計画遂行後に自分を殺そうとたくらんでいるのを知る。

映画『メカニック:ワールドミッション』 - シネマトゥデイ

『メカニック: ワールドミッション』の原題は『Mechanic: Resurrection』。直訳すれば「メカニック:復活」なわけで、前作ラストで自らの死を偽装して世の中から自分の存在を消していたはずのビショップが戻ってきた、って感じですか。

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そんなわけで、リオ・デ・ジャネイロのハーバー管理人のような感じに他人になりすまして隠遁生活をするビショップのもとへ、クレインというマフィアからの使者が到着。要求の内容は3人の暗殺でしたが、この提案をあっさり蹴飛ばして、ついでに交渉人たちを蹴散らすビショップ。 とりあえず居所が知られてしまったわけで、タイに潜伏するわけですが、この潜伏先のビーチでDVを受けていた女性(ジーナ)を救出。ところが実はこの女性、クレインの脅迫を受けており、ビショップを釣り出すための餌なのでした。あっさりバレてるよビショップ!

一応釣りだということはすぐに気づいていたのですが、クレインを騙すために釣られたふりをするビショップとジーナ。やがて2人の間には絆と情が生まれるわけですが、そんな芝居虚しくあっさりとジーナがクレインにさらわれる事態に。あの芝居はなんだったのか!

ジーナ解放の引き換えにクレインが要求したのは3人の暗殺。1人クリアするごとにジーナとビデオチャットで生存確認、3人クリアで解放、と。

その1人目は孤島の刑務所に収監されている男。刑務所とは言え、事実上彼の独裁王国で取り巻きに警備させている上、断崖に囲まれ侵入は無理、さらにはサメがうようよしている海域というなかなかのハードルを72時間でどうにかしろ、と。

ここからがビショップの本領発揮。凶悪犯リストから自分に似ている人物を探し出すと、彼に成り代わってわざと逮捕されることでまんまと刑務所への潜入に成功。サメよけクリームを用意して、ガムやタバコといった手持ちアイテムに偽装することでプラスチック爆弾の持ち込みもクリア。あとは事故に見せかけた暗殺を実施して脱出するだけです。暗殺方法、割と力技だったけどな!本当にあれで事故に偽装できたんだろうか。

ともあれ2人目。シドニーの大富豪。ビルの最上階にペントハウスを構えてさらに空中にせり出すガラスプールで泳ぐことが日課という成金趣味バリバリな男。ビルのセキュリティは万全だし、外出するときは常にボディガード連れてるしという状況なので、普通に挑んだら"事故に見せかけた暗殺"は出来ないという難問。これを48時間。だんだんリミットが短くなっています。

とは言え流石にビショップ。実業家を装ってビルの内覧にかこつけて業者がもっていたペントハウス直下のオフィスのキーを入手。あとは清掃員に返送した後、キーを使ってオフィスに入り、ガラスカッターでビルの壁面に出ると、エアポンプを駆使してプールの底にとりつきます。あとはプールの壁面ガラスにドリルで傷をつけたら、特殊な薬品で膨張する樹脂を埋め込んで、富豪が泳いでいるプールを直接破壊するという荒業で暗殺。普通こういうプールってガラスだと重すぎるし耐久性に不安があるのでアクリルが使われると思うんですが、アクリルだとこの方法できないよな……。本当に、プールがガラスでよかったね。あとこれも事故に見えないんですが!

2人目暗殺のご褒美のビデオチャットで、ジーナが身体を張ってとらわれている場所のヒントを伝えることに成功。それはシドニーのハーバーにある客船の中でした。案外近いところにいるのね。

そうしてクレインの船に潜入するビショップ。うじゃうじゃいる手下をバッサバッサと切り捨てながら進みますが、最終的にはジーナが人質に取られる形で失敗。結局3人目を暗殺しないとだめよ、ということで。

その3人目、旧ソ連内に要塞のような建物を構える実業家。ここでビショップは気づきます。暗殺ターゲットの3人はいずれも武器商人。しかもクレインとはマーケットが重なっていない地域をカバーする大手だと。つまりクレインの本当の狙いはビショップやジーナではなく、商売の拡大だというわけですね。

こうなると話は違ってきます。ビショップはドクターヘリに忍び込むことで要塞へと潜入。ターゲットと接触すると取引を持ちかけるわけです。曰く、自分がクレインを倒すまでおとなしく殺されたふりをしていろ、ということです。ターゲットの死体、そして要塞地下に隠された戦略原潜を餌にクレインの部下をおびき寄せるとこれを逆襲して殲滅。返す刀でクレインの船に逆強襲をかけて、とうとうジーナを助け出すことに成功します。

最後はクレインも倒し、孤児時代からの因縁を断ち切ることができたわけですが、船には自爆が仕掛けられており、ビショップも巻き添えに。「他に生存者はいない」という報に悲嘆に暮れるジーナ。

しかし、彼はやはり生きていました。船のアンカーブロックはその構造上ブロックごとパージできる上、内部にヒト1人が入れるほどの空間があるのですが、彼はこれを潜水球として活用して脱出に成功したのです。普通に脱出しなかったのは、やはり伝説の暗殺者"ビショップ"は死んだ、と思わせるため。今回のように彼を利用とする連中が現れないようにするための措置でした。前作と同じオチですね。つまりこれが『メカニック』のテンプレートということですか。

こうして生き延びた彼は、カンボジアで難民救済学校で教鞭をとるジーナに会いに行くのです。

『メカニック: ワールドミッション』のスタッフ・キャストについて

本作の監督はデニス・ガンゼル。ドイツの映画監督です。もともとはテレビ映画等を作っていましたが、2001年頃から長編映画をとるようになります。彼の代表作は何と言っても「THE WAVE ウェイヴ」。あるアメリカの高校で行われた実際の事件を元に映画を作った、という触れ込みで、ある種のゲーム間隔で社会規範的なルールを作った場合、生徒がそれを積極的に守るようになる、さらには新しいルールを作り出すようになる、という全体主義傾倒なマインドコントロール実験を描写した映画です。静かな狂気というか、ルールの中で少しずつずれていく歯車のような人間の気色悪さを描いた作品。実は僕これ、DVD持ってますが、たまに見返したくなるほどの傑作です。あ、ノルウェーに同名の津波パニック映画があるので間違えないようにね!

THE WAVE ウェイヴ [DVD]

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そして主人公"ビショップ"を演じるのがジェイソン・ステイサム。『トランスポーター』シリーズや『アドレナリン』などの作品でアクション俳優としての地位を確立し、とうとう『エクスペンダブルズ』シリーズにも抜擢された新世代肉体派ヒーロー。また、2008年公開の『デス・レース』撮影前には海軍特殊部隊と共に週6日の肉体トレーニングを10週間に渡って行うなど、ストイックな役作りの評価が高いですね。個人的にはこのヒトのアクション映画ってわりとハズレが少ないと思っているですが、単体主演映画で続編が作られたのは『トランスポーター』が目立つ程度なのが不思議。続編うれそうな作品も多いんだけどな。

本作のヒロインであるジーナ役はジェシカ・アルバ。12歳のころにコンテストで優勝したあたりからエージェントがついてテレビドラマ中心に芸能活動をしている、とのことなので結構長いキャリアもってますね。1999年公開のドリュー・バリモア主演のラブコメ25年目のキス』とホラー・コメディ『アイドル・ハンズ』で注目を集めると、再びテレビに戻って『ダークエンジェル』が大ヒット。さらには再度映画中心の活躍として『ファンタスティック・フォー 』や『シン・シティ』をヒットさせました。私生活では敬虔なカトリックとしてヌードやセックスシーンはお断り……のはずが近年ではそのNGも有名無実化してきたようで、本作でも下着はつけていますがセックスシーンを演じています。「世界一セクシーな女性」のベッドシーンをみれる、というだけでも本作に視聴の価値あり?

彼に命を狙われる富豪マックス・アダムズ役にトミー・リー・ジョーンズ。『JFK』や『沈黙の戦艦』出演の頃から注目されるようにり、『逃亡者』ではでアカデミー助演男優賞を受賞、2005年には自身が監督・プロデュース・出演した『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞するなどしていますが、知名度では何と言っても『メン・イン・ブラック』ですか。真面目くさっているのに何故かちょっとコミカルな演技は今作でも同様。映画知らない人にも缶コーヒーの宇宙人のヒト、で通じるのはすごいと思う。

そしてラスボス、クレイン役にサム・ヘイゼルダ院。アンソニー・ホプキンスなどを輩出したロンドンの王立演劇学校を卒業しているのに、なんと日本語版wikipediaに記事がないという不遇な人。 近年の出演作では『ザ・マシーン』『ベルファスト71』『ミケランジェロ・プロジェクト』などですが、『水野美紀 サム・ヘイゼルダイン in 甲冑師団 コマンダー731』なんてカルトホラーにも。インドネシアのジャングルに出かけたら旧日本軍の亡霊に出会って……ってどんな映画なんだよ! 本作きっかけでもう少しメイン出演作品に恵まれないでしょうか。

タイに隠れた"ビショップ"をかくまう女性役にミシェル・ヨー。『グリーン・デスティニー』『ソード・オブ・デスティニー』のシリーズや『ポリス・ストーリー3』『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』などに出演するアクション女優ですが、本作ではアクションなし。残念。

さいごに

キャストのところにも書いたんですが、ジェイソン・ステイサムってなぜか続編がこない、っていう不思議な俳優。なので本作の制作、公開はちょっとうれしい予想外。 細かいツッコみはいくらでもできるけど、筋肉でどうにかするアクション映画はこれでいいのだ、って感じです。

いろいろ重たいテーマの映画が受けているこの夏なので、これくらいシンプルにすっきりする映画もいいんじゃないかな。