おっさん、映画を見る

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「ならず者たち」が未来に繋いだ2つのコト 『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』レビュー

こんにちは、おっさんです。

今年ももう終りが近づいてくる中、最後の最後にやってきた超期待作!

それが『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』です。

http://starwars.disney.co.jp/content/dam/starwars/movie/r1/countdown/r1_countdown_sp_playing.jpg

http://starwars.disney.co.jp/content/dam/starwars/movie/r1/countdown/r1_countdown_sp_playing.jpg

最初に書いておきます

僕は『STARWARS』が好きです。

僕は『STARWARS』が大好きです!

もう、個人的に全映画作品から一つベストを選べ、といわれたらノータイムで初代「STARWARS」を選ぶくらいには好きです。劇場での鑑賞を除けば、映画関連のイベントで人生で最初にチケットを買ったのが「ジョージ・ルーカス スーパーライブ・アドベンチャー」じゃねーの?ってくらいに好きです。なので、相当個人的見解とか思い入れを含む記事です。ご容赦ください。

STARWARS』好きからみての本作

もうね、これが『STARWARS』なんだよ!と思い切り叫びたい気分

冒頭のおなじみ「遠い昔、はるか彼方の銀河系で…」からエンドロールまで。特に、ラストシーンにスタッフロールが重なり流れる「スターウォーズのテーマ」には、これだ!、と。

EP4からこっち、“まあ『STARWARS』につづくストーリーなんだけどね……”という微妙な気分が積もっていたのですが、一気に払拭された、心地よい気分です。あ、個人的には『フォースの覚醒』は別に嫌いではないです。あれはJ・J・エイブラムスが初監督するということで、初代を踏襲してストーリーラインからちょっとしたイベントまで「置きにいった」のが想定できていたので、ある意味で予想通りというか。

まあそういう微妙な心境を含めて、旧三部作ほどの興奮が得られなかった『STARWARS』サーガに、久しぶりに会心の感触を得た、そんな印象をうけました。

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』

遠い昔、はるか彼方の銀河系で…

銀河帝国の恐怖による支配が進む宇宙で、その支配を良しとしないものたちは反帝国同盟をつくり、ほそぼそと抵抗運動を続けていた。帝国が建造をしていた最強最終の星間兵器、宇宙要塞“デス・スター”は完成間近という状況であったが、主要な技術者であるゲイレン・アーソの離脱により作業が滞った状態となっていた。

物語は帝国がゲイレン・アーソを発見、捕縛するところから始まる。

ゲイレンの一人娘ジンはその捕縛劇の混乱の中、反帝国のテロリストであるソウ・ゲレラの下に身を寄せていたが、やがて彼と袂を別ち偽名で無法者のように過ごし、そして帝国軍に逮捕されていた。

そのころ反乱軍は、ゲイレンからソウに託されたとみられるメッセージをもった、元帝国軍貨物船パイロットのボーディーを捜索していた。この時ソウと反乱軍は反帝国というポリシーは一致していたものの、その方向性の違いから仲違いしてために仲介役を必要としており、ジンはそのために必要な人材として反乱軍により救出される。

多分に打算的ではあるものの、ジンはメッセンジャーとして、反乱軍のスパイであるキャシアン・アンドーと元帝国軍ドロイドであるK-2SOともに、フォースの聖地である惑星ジェダを訪れる。彼女はジェダで元帝国軍パイロットのボーディー、ジェダの寺院の元守護者チアルートと彼の盟友ベイズと知り合い、そしてゲイレンのホログラム・メッセージを受け取ることになる。

だがそこには、完成したばかりのデス・スターが迫っていた……

ジェダの寺院とその守護者について

本作のキーポイントのひとつがここだと思います。

惑星ジェダとその寺院は、フォース信奉者における一種の聖地、巡礼地です。本作の主役の一人、チアルートはその寺院の守護者の一員でしたが、帝国による占領と寺院の破壊を受けて護るべき場所を失った状態にあるのです。

これまでの作品で似たような名称として「ジェダイ寺院(ジェダイ・テンプル)」が出てきましたが、これは惑星コルサントにある(あった)別の施設。一部ブログなんかで惑星ジェダを“ジェダイの聖地”みたいに書いてありますが、これは誤解で、あくまで“フォースの聖地”だということに注意が必要です。

したがって、チアルートはジェダイではありません。このため、聖句もこれまでの作品に出てきた「フォースと共にあらんことを」ではなく、フォースと自分がお互いにともにある、という内容になっています。

彼の使う体術はジェダイのそれを彷彿とさせる物になっていますが、これはジェダ寺院で報じられていた宗教とジェダイのそれが、ソース信仰という源流から分たれたもので、基本的な哲学を同じくしているからだと推測できます。現実世界に例えるならば、武装した聖職者と、宗教騎士団みたいなものでしょうか。源流となる新興は同じですが、世俗世界に対する役割が違う、というわけですね。

ちなみに、チアルートの戦闘シーンは本作の見所の一つだと思います。

A Star Wars Story

本作の原題におけるサブタイトルが「A Star Wars Story」です。

直訳すると、「あるスター・ウォーズの物語」。実はスター・ウォーズの歴史は、初代の映画におけるヤヴィンの戦いから遡ること7,500,000,000年前(75億年前!)まで大まかに設定されています。

映画化されたのはその中でもターニングポイントになった大きな事件であり、その他にも様々な事件があったわけです。中には初代の愛すべき悪役であるジャバ・ザ・ハットの父、ゾーバの物語などもありますが、こうした小さなエピソードも、小説やアニメ、ゲーム等、さまざまな媒体で発表されています。

本作が「ある物語」となっているのも、映画で描かれた大事件以外にも、歴史は脈々と続いており、小さなエピソードが積み重なっている、というメッセージを言外に伝えているのだと思います。

ローグ・ワン

本作のメインタイトルである「ローグ・ワン」ですが、これはジンと彼女の仲間たち(キャシアン、K-2SO、ボーディー、チアルート、ベイズ、そして反乱軍の活動の中で汚れ仕事をしていた者たち)が最終決戦に望むときにでっち上げた、偽コールサインです。

軍隊では部隊や機体を示す識別信号としてコールサインを用いるのですが、「ローグ・ワン」という言葉が示すのは「ローグ隊の一番機」などのこと。反乱軍は人が伝えたゲイレンのメッセージの信憑性を疑い、またデス・スターの圧倒的破壊力を前に決戦を否決するのですが、ジンたちは無理やりに出撃します。そのときにでまかせで出したのが「ローグ・ワン」というコールサインでした。

ちなみにローグ(Rogue)の意味は、悪党、ならず者のこと。帝国軍の虜囚であったジンやスパイであったキャシアンはじめ、本作の主人公チームに実にふさわしいチーム名だと思います。

 「ローグ・ワン」の結末

デス・スターの設計図を盗み出すため、惑星スカリフ上で戦うチームですが、そのなかで1人、また1人と倒れていきます。チアルートは乗り込んだ貨物船とコントロールタワーを接続するためのマスタースイッチを入れるために、ベイズは盟友である彼を救い出すために。ボーディーはデータ送信を行った直後に貨物船と運命をともにし、K-2SOはデータ奪取を試みるジンとキャシアンを守り作業の時間を稼ぐために倒れます。そしてジン、キャシアンもまた、すべての行動を終えて、その成功を信じながら、デス・スターの攻撃で発生した地殻津波に飲み込まれ、命を落とします。反乱軍による公式決議を下手作戦ではないために歴史に名前は残りませんが、間違いなく未来に「希望」を繋いだ英雄たちとして、チーム「ローグ・ワン」は最後を迎えました。

「ならず者たち」が未来に繋いだ2つのコト

本作の主人公チーム「ローグ・ワン」が未来に繋いだこととして2つ、あげられると思います。

一つはもちろん、本作のキーアイテムである「デス・スターの設計図」です。これがなければ初代である『STAR WARS』の戦いも、ルーク・スカイウォーカーたちの活躍もなく、帝国による恐怖支配が宇宙を制していたことでしょう。

そしてもう一つが「ローグ」という名称。

本作ではでっちあげのチーム名でしたが、『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』では、主人公ルーク・スカイウォーカーがローグ中隊の隊長としてコールサイン「ローグ・ワン」を使用しています。 非公式な名称だったはずの「ローグ」が、反乱軍のエースによる精鋭部隊、切り札の名称として公式になったと考えると、歴史に消えた彼らの存在感がいや増します……。

旧作ファンに嬉しいいくつかのこと

EP3とEP4をつなぐストーリーということで、旧作ファンに嬉しいこともあります。いくつかあげてみましょう。

グランド・モフ・ウィルハフ・ターキンや反乱軍各隊リーダー、そしてレイア・オーガナ姫といった、旧作のキャラクターたちとの再会は本当に望外の喜びというか。CGIの進化に感謝しかありません。

ラダス提督がアクバー提督と同じ惑星モン・カラマリ出身っぽいデザインなのもまた、旧作ファンがニヤリとするのは間違いないです。一瞬、あれ?名前変わった?とか思ったほど。色合いが違うんですよねぇ。

こまかいところでは、ゲイレンのメッセージがホログラムで伝えられたのも旧作オマージュでしょうね。レイア姫がR2に託し、ルークを通してベン・ケノービに伝えられたメッセージもまた、ホログラムでした。

他にもジェダで方がぶつかった彼らとか、本当に懐かしい!

若干の設定変更点とみられること

さて、いくらスター・ウォーズの歴史設定が充実しているとはいえ、十年以上の時間をかけて各エピソードを拡充してきたわけで、当然ながら過去作と設定が違っていたりする箇所もでてきます。

本作でデス・スターの設計図を盗み出しに行く場所は惑星スカリフです。しかがって、本作終盤の決戦は、スター・ウォーズ世界の命名規則で言えば「スカリフの戦い」になるでしょう。ですが、これは旧作ではトプラワの戦いの称されていました。

ヤヴィンの戦い - Wikipedia

まあこうした変更は大きな問題ではないですし、本作の舞台となった作戦の性質上、後に名前を残せないことも多いので欺瞞情報という可能性もあります。

他にも「あれ?」というシーンもあったのですが、対比できる情報が見つからなかったので伏せておきます。自分なりの変更点探し、というのも面白いのではないでしょうか。こうした変更点を楽しめるのも、スター・ウォーズシリーズが長く続いたおかげという側面もあるので、ファンとしては探して楽しむくらいの余裕を見せたいものです。

まとめ

大作映画が続いた今年の最後にやってきた大本命は、スター・ウォーズファンから見ても大満足の出来でした!

これだよ、これがスター・ウォーズだよ!