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おっさん、映画を見る

広告業界で働くITエンジニアなおっさんが、映画について語っていくブログ(ネタバレもあり)

拡げすぎてたためなくなった風呂敷は全部ふっ飛ばしてしまえばいい、という話 『バイオハザード: ザ・ファイナル』レビュー

こんにちは、おっさんです。

STAR WARSが作品の間をキレイにつなぐ作品をリリースした中、やはり10年以上続くシリーズが最終章という触れ込みで年末に上映される、ということで観に行って参りました。

バイオハザード: ザ・ファイナル』のレビューです。いつもの通り、ネタバレはクリックオープンで。

http://www.biohazard6.jp/images/keyart.jpg

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「アリスの物語」終焉

本作の主人公アリスは、2002年に上映された初代の「バイオハザード」冒頭で、洋館の中で記憶喪失で目覚めたシーンが初登場。アンブレラ社の秘密地下施設を駆け抜けたり、地上に出てからも激戦を繰り返す過程で自身もT-ウイルスに感染していることが判明したり、それどころか多数のクローンが作られていることが判明したりとまあ多難な人生を送った人ではあります。

そんな途中から人間離れどころではない戦闘力を身に着けた彼女の物語、そしてなぜ記憶を失っていたのかが本作では明かされることになります。

 明かされるアリスの秘密(ネタバレにつきクリックで表示します)

アリスは実は、アンブレラ社の創業者であるマーカス博士の娘であり、現共同経営者であるアリシア・マーカスのクローン。アリシアは老化が異常に促進される難病“プロジェリア”に罹患しており、そんな彼女を救うためにマーカス博士が作り上げたのが細胞の修復能力を高めるT-ウイルスだった。T-ウイルスはその特性上、様々な病気を治癒することが出来たのだが、深刻な副作用として感染者がゾンビ化してしまう。アリシア自身は発症はしなかったが、治療効果は長くは続かず、おそらくは後継研究のために、ウイルスに感染しても発症しないウイルス耐性を有するクローンとしてアリスが作られた。そんな危ない薬を娘に投与するなよ!

これで終わり?、という話。

そんなこんなで初代以来長く続いていたアリスVSアンブレラ社ですが、本作ではとうとうこの事件を引き起こした元凶たちとの最終決戦を迎え、一応の終焉を見ることになります。

んで、タイトルにも書きましたが、拡げすぎてたためなくなった風呂敷は全部ふっ飛ばしてしまえばいいと言わんばかりのオチでして。細かい矛盾とかツッコミどころなんかは全部勢いだけで無視していくスタイルは、丁寧に作り込んで前後作との矛盾を出来る限り吸収しようとしていたスターウォーズと比べると実にお粗末だったなぁ、と思わざるをえないです。

 アンブレラの野望と結末(ネタバレにつきクリックで表示します)

本来は治療用途だったT-ウイルスの副作用に気づいたマーカス博士はウイルスの製作と実験を終了しようとしますが、彼の共同経営者であるアイザックスは彼を殺害。T-ウイルスを使って増えすぎた人類を滅亡させた後、アンブレラの経営陣でクリーンになった地球を統治するために利用しようとします。その意思決定がなされた会議の様子がアップされたため、やはりアリシアの幼少期の人格をベースに作られたAIであるレッドクイーンがアンブレラに反逆。しかし彼女はアンブレラ社の人間を傷つけることが出来ないようにプログラムされているため、それを実行できる戦力として呼び寄せたのがアリス、というシナリオ。アリスは再びラクーンシティに戻り、ハイブの奥深くで全ての元凶であるアイザックスと最終決戦。T-ウイルスに感染した異生物を死滅させる抗ウイルス薬を奪い取ると、それを地上でばらまきます。薬品が地球全土に広がるには時間を要するようですが、とりあえず人類滅亡の危機は去りました。あ、以前からラスボス臭を漂わせていたウェスカーはあっさり死にます。あとアリスのオリジナルのアリシアも死にます。や、本当にこれでいいのか……

ホラーアクション映画としては

映画バイオハザードシリーズと言えば、スタイリッシュで派手なアクションと、とにかく驚かせることに特化したかのようなゾンビ襲撃シーンですが、本作でもそれは継承されています。特に冒頭の幾つかのシーンは「分かっていても驚く」ように配置されていました。

ふと思ったんですが、こういうパニックホラーとJホラーの違いって”仄めかし”がどの程度あるかなんですかね。 本作もそうですが、ゾンビパニックなどはとにかく、なんの予兆もなく突然出てきて大音量で襲い掛かってきて視聴者を驚かせようとします。ここで来るな、と見ている側はわかるのですが、それでもやっぱり驚かされる映作りがキモ。

一方、Jホラーの場合って、事前に仄めかしてくる。例えば背景にこっそり写り込んでたりとか。「それ以上踏み込んだらやばいから逃げて!」って言いたくなるのにどんどん主人公たちは入り込んでいっちゃう。で、「ほらやっぱり怖い目にあったじゃないかぁ」ってなるカタルシス。

どちらが優れているか、とかそういう話ではないですが、とにかく映画バイオハザードシリーズは前者のような演出に特化していて、驚かせることに全力を注いでいる、って印象。ま、物語中盤からゾンビの数からなにからどんどんインフレしていって、さらにはそういうシーンが増えすぎちゃって終盤はギャグみたいになっていましたけど。

アリスの異常戦闘力も相まって、初代を見ていたときのような「本当に生き残れるのか」というサバイバルな不安がないんですよね、まったく。そういう意味ではこのシリーズも潮時かな、という妙な納得感がありました。もうちょいJホラー的な怖がらせ方も取り入れられなかったのかなぁ。

そういえばローラの話

一応このひとについても触れておこうと思ったローラの話。

本作ではラクーンシティの生き残りグループの一人、女戦士コバルトとして登場します。事前のプロモーションではアクションもやるし台詞もある重要な役どころ、みたいな紹介をされていました。さて、どんな感じだろうと見ていたら、途中のタワー防衛戦(『バイオハザードII アポカリプス』の舞台ですね。懐かしい)であっさり戦死します。ヲイ、と思いましたが、そもそも登場人物少ないし、プロモーションの説明も嘘ではない…のか…?ま、ウェスカーのオチとか見ちゃうと、ねぇ。

そういえばラクーンシティの情景とか過去作を見ているとなかなか感慨深い風景でした。ゲートに吊るされたゾンビとか、墜落した輸送機の残骸だとか。懐かしいといえばハイブの中でも初代でみんなにトラウマを受け付けた罠とかね。あそこをくぐり抜けるアクションって多分初代のときと同じだとおもうんですが、細かくは見直してみないといかんな。

話がそれました。ローラ演じる女戦士コバルトを含めたラクーンシティ生き残り組とゾンビの大群の決戦は、本シリーズでは珍しい大規模殲滅戦です。が、やはり細かく突っ込んだら負け。もうこの辺から、「笑わせにきてるのか?」と思いながら見てました。ガソリンにあんなふうに火をつけたら危ないよ?

あ、肝心のアクションですが、スタント使ってるので不明

ラスボスについて

シリーズ通してラスボスかと思わせていたウェスカーがわりとあっさりやられてしまい、本作のラスボスはアイザックス博士が担うことになりました。

が、彼は本作屈指のギャグキャラになっています。

特にT-ウイルスに由来するアリスの未来予知じみた超常能力を封じた格闘予測プログラム。あれは完全に笑わせにかかってると思います。

目の前にある幾つかのアイテムでアイザックスを倒すシミュレーション(というか多分未来予知みたいな能力)をするアリスと、そんな攻撃はすべて予測済みで通じないよ、とやはりシミュレーションの中でアリスを封殺するアイザックスの格闘予測プログラム。アニメとかの超常能力バトルっぽい演出でしたけど、実写の、しかも映画の緊張感があるシーンでやると本当にギャグにしかなりません。シナリオ担当者と演出担当者は一回ウイルスに罹患してこい。

風呂敷をたたむことを諦めた衝撃のラスト

そんな感じにギャグシーン満載の本作でしたが、ラストがまた衝撃的。やはりネタバレなのでクリックオープンにしようかと思ったのですが、正直そうするほどの価値が無いのでそのまま書きます。どうしてもネタバレを避けたい人は読み飛ばせばいいと思うよ。それくらいひどい。

そもそもアリスがハイブにやってきたのは、その奥にあるという「抗ウイルス薬」。これが懐かしいグリーンの二重らせんなのはいいとして、こいつを地上で使うと地球上に広がってT-ウイルスに罹患した生物はすべて即死するようです。一本しかないのにすげー威力だな。

これの入手が遅れると、アンブレラが計画していた人類最後の居留地が襲撃されてしまい、人類滅亡エンドになる、ということでタイム・リミット以内にこの薬を入手できるか、地上にばら撒けるかが問題らしいのですが、この辺の因果関係はまったくよくわからんです。

ラストはとにかくこの薬をばらまいて、周りを囲んだ大量のゾンビたちがバタバタと倒れていき、そしてやはりT-ウイルスに感染しているアリスも死……ぬかと思ったら普通に目を覚ましました。

「感染していない正常な細胞は生き残るからアリスは大丈夫」「(死ぬ覚悟だったというアリスに対して)命をかけて人類を救うようなアンブレラの人間たち以上に正しい覚悟をもっているか試した」とかいうレッドクイーンは絶対フォーマットして根絶したほうが人類のためだと思います。

なお薬をばらまいたのはタイム・リミットまで一時間を切ったあたり。最期の人類居留地とやらがラクーンシティからどのくらい離れているのかわかりませんが、薬の伝播速度早いっすね!

その後普通に生きているクリーチャーも出てきて、”薬が地球上に広まるにはもう少し時間がかかる”とか、もう設定に一貫性を保つことを諦めたとしか思えません

まとめ

あれだ、口直しがわりに、もう一回『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』見てくるわ……